2022年 8月20日-9月19日の期間、末広町駅近くにある小学校を改装したギャラリー施設「3331Arts Chiyoda」内2階にある「アキバタマビ21」にて企画展「たゆたまりに小石をひとつ」を開催しました。
「自身の制作を省みる」という趣旨の元に企画を立ち上げ、バックグラウンドの異なる4名の作家で展示を行いました。
展示概要文
作家として日々制作と向き合い、ふと疑問を感じた。
作品制作のどこまでが作者のための行為であり、どこからが他者に見てもらうための行為なのだろうか。
発表を続けていく以上は作品が必要で、作品には制作過程が伴う。制作過程と作品の境界は作家自身が線引きをする。その線引きの根拠は一体なんなのだろうか。制作過程と定めた領域は、完成作品を抜きにして見せてはいけないものなのだろうか。
自身の制作方法を確立していく一方で、作品からたゆたうように抜け出た行為や集積はどこへ向かえばいいのだろうか。作品という舞台に上げるまで眠らせておくべきか、日常の習慣にくくってしまうべきなのか。
本展は作家それぞれが「自身の制作行為を省みる」事に重きを置いた展示を行う。みせるつもりもなく作りためた断片、制作の過程で無意識的に生まれた行為、自分の中でまとまりきれていない表現を展示空間に並べる事で明らかにする。あるいは作品として一度発表したものを再構成する事で内省する。
展示空間は4名の作家による“たゆたい”の“溜まり”となる。来場者による鑑賞行為が投じられる事で、この“たゆたまり”はどのような波模様を広げていくのだろうか。来場者にも伝播するだろうか。
たゆたまりに小石をひとつ
企画代表 小林大悟(画家/美術作家)
展示風景
絵本、絵画、実験的表現という、自分の中では繋がりを感じているけれど端から見ると分裂しているように見えてしまう
3種類の表現を内省したく、あえて同一空間に展示しました。
他展示作家の展示風景
トークイベント
学芸員経験をお持ちの内田麻美子さんをゲストインタビュアーとしてお招きし同年代の目線から「もやもやにかたちをあたえるということー作家が自身の制作をかえりみるー」というテーマの元に、1時間少々我々作家に聞き出していただきました。短い時間でしたが、美術に限らず作り続けている、表現活動を続けている方の参考になるお話ができたかなと思います。
本展をきっかけに集まった四名の作家は、当然、共通する問題意識や制作趣旨を掲げて活動してきたわけではない。四名の、作家としての活動を成り立たせるための社会的・経済的な生活の基盤がそれぞれことなり、制作に向き合い、費やすことのできる時間も違うなかで、しかしながらぼんやりとひとつの像のように浮かび上がってくるのは、自分自身で捕らえきれていない日常生活についての葛藤や不安や衝動といったさまざまな感情の揺らぎを、制作という行為を通して、できるだけ静かに、客観的に、視覚的な記憶として定着させようという試みの先に、本展出品作のような制作物が生まれている、ということである。本イベントでは、作家の言葉を手がかりに、「つくること」、「つくることを通して作家が日常の中につかもうとしているもの」について考え、「つくりつづけること」に真正面から向き合う。
文:内田麻美子(アキバタマビ21掲載文より引用)
Twitterライブにて当日の様子をご覧いただけます。
トーク前半
https://twitter.com/i/broadcasts/1lPKqBrlXaZGb
トーク後半
https://twitter.com/i/broadcasts/1BRJjZplnLRJw
(開始直後映像の乱れがございますが、しばらくすると正常になります)
当日の写真はFlickerからご覧いただけます。
https://www.flickr.com/photos/akibatamabi21/albums/72177720301430492
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